狐兎の雑記帳

あまり歌えてない、歌ってみたの人の雑感。

好きな街

今週のお題「好きな街」

生まれてこのかた、田舎町に暮らしている。
大学も地元の学校に通ったため都会に出ることはなく、一人暮らしも社会人に成ってからの数年だけ。それも僻地の勤務のためだったので、実家よりも山あいの町で暮らしていた。

住めば都の言葉通り、住んだ街はどれもそれぞれ好きな街になった。今住んでいるのも、実家に程近い故郷の町並みのなかである。しかし、好きな街というお題をみて真っ先に思い出したのは、都会の風景だった。

学生時代、友人の伝を頼って遊びに行った新宿の街並み。ビルディングの狭間から見上げた真っ青な空。人で溢れるスクランブル交差点。神田の古本屋街を歩いたのは一度きりだったけれど、街路樹の脇の、露天に置かれた古書の色合いが、妙に懐かしく思い出されるのだ。

特に、ラッパを教わる為にオペラシティまで歩いた錦糸町と、知古が住んでいた中野の生活感のある大通り。飲みに連れていってもらった鶯谷の狭い路地、他に場所を知らなかったこともあってデェトで待ち合わせに好く撰んだ池袋から新宿周辺。
あの、人工物に囲まれた、繁雑なコンクリート構造物のなかから見上げた、空。ACE COMBAT4シャタードスカイ宜しく、切り取った空を見上げる街が、堪らなく好きだった。

都会の人たちにとっては、何てことのない、ごくごくありふれた風景だろう。
もしも貴方が、あの都会の空気感の中に暮らす人たちであるのならば、夏の好く晴れた日の青空か、雲が細くたなびき大きな満月の懸かる秋の夜空を見上げてみて欲しい。
それが、私が憧憬を込めて見上げた、懐かしい、好きな街の風景。私が憧れて、ついぞ手に入れようとせず、失って久しい風景。
それが、貴方にとって好きな街になりますようにと。

恥をかく書き始めに。